01 期待と憧れの渡米

 ロールズニューヨークなどのブランドを展開する新杵堂グループ代表の田口和寿は1990年から5年間、東京赤坂にある「塩野」で伝統的な和菓子を修行していた。幼少の頃から栗菓子の職人である父親の背中を見てきたため、より洋の味も知りたいと思っていました。そんな1995年の夏、TVから流れる「アメリカで動き出しているデジタル情報革命」に衝撃を受け、翌月には発信源であるニューヨーク・マンハッタンに立っていました。当時退職金として戴いた15万円を握りしめて渡米。片道切符のみで渡米していますから生きるために、いろんな皆様との出会いを求めて彷徨っていました。

02 継承と決意

 マンハッタンでの生活は多くの出会いやご縁があり、有名店「ISO」で見習いとして働くことになりました。家もお金もない苦しい日々で、生きていくことに必死でした。「ニューヨークに降り立った意味は何なのか?」そう考えたときに、家業である”栗菓子”、そして塩野で学ばさせて戴いた”和菓子”はニューヨークで生きていくための「和の精神を持ち合わせた菓子創り」だと再確認。その精神・想いを忘れず、必死に継承してゆこうと摩天楼の中で決意した瞬間でありました。

03 支えと出会い

 職場には世界へ挑戦するためにやって来た個性豊かな仲間たち、中でも私を支えてくれたのがLGBTの仲間たちでした。夢を実現させるために踏み込んでいる自分は「お金もない」「友人もいない」「住む場所も転々」など不安要素があり、LGBTの仲間たちが励まし、支えてくれたことは大きく前進に繋がった。

04 ブランド創造の原点

 私の第二故郷と言っても過言ではないニューヨーク・マンハッタンで新ブランド「ロールズニューヨーク(英記;Rolls NewyYork)」を立ち上げた。毎週末にマンハッタンやブルックリンなどで行われるフリーマーケットに出向いてスイーツの販売をしていたのが原点です。

05 別れと誓い

 ニューヨークでの生活も5年が経過しようとしている時、実父が倒れたため帰国を決断。当時私を受け入れてくれた多くの仲間たちとの別れは本当に辛かった。必ず”世界”に挑戦して、またここに戻ってくると約束しました。

08 ロールズニューヨークといま 

 現在ロールズニューヨークは海外にも法人拠点を置き、アジア・カナダ・アメリカに輸出しています。先代の実父から学び続けている和菓子の多くは”丸い形”です。和菓子には優しさが想い込められており、日本古来の伝統技術の中枢でもあります。つまり和菓子の”丸=Rolls”は和であり、輪でもあります。ロールズニューヨークを通して、人生が多くの出会いと優しさで満たされますように。 ロールズニューヨーク 田口和寿